非営利任意団体/Rの会 2018年6月設立

エンゼル通信|Vol.10 エンゼルアーティストの成り立ちについて

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エンゼルアーティスト実現までの近くて遠い道のり

やってみないとわからない
1月某日、登録アーティストの方から地元でもエンゼルアーティストのような活動をしてみたい、という話がありました。

エンゼルアーティストは、2020年11月に立ち上がったばかりで、まだ10回しか開催していません。したがって開催の経験を語るには不足しています。しかし、実現までの過程ならば、なにかしらの参考になるかもしれません。

そこで、エンゼルアーティスト実現までの経緯を解説したいと思います。これから地元で活動を始めたい、そんな人たちの参考になれば幸いです。

また、現在(2021/1/20)、緊急事態宣言を考慮し活動休止中ですが、この機会に改めて何事も「初心忘るべからず」、ということも肝に銘じたいと思います。

創るより、壊す方が簡単です
はじめにお断りしておきますが、どこでも実現するとは限りません。所が変われば、人も変わります。それでも諦めずに挑戦してみるといいと思います。

なにごともやってみないと判りませんから、諦めなければどこかで光が見えてくるかもしれません。それが確実だと断言はできませんが、あしからず。

それから、許可を得ることは、イコール一定のルールを守ることと同義です。これを予め理解して進めるべきと思います。

また、許可を得れば、なにをしても許される訳ではありません。それを(ルール)逸脱すれば元の木阿弥となります。要するに何事も創るより、壊す方が簡単です。

非営利団体について
エンゼルアーティストは、非営利団体Rの会が企画・運営をしています。Rの会は、当初「歴史ある建物の保存と活用」をめざして活動していました。しかし、いまだ大したことはできず現在に至っています。

Rの会の活動は、端的にいえば「まちづくり」「中心市街地の活性化」などになります。エンゼルアーティストは、その範疇にあるものとして企画されました。

エンゼルアーティスト実現までの道程

エンゼルアーティスト実現までのあらましを以下のように整理いたします。なお、関係した組織、団体等の詳細は省きます。

きっかけはヘブンアーティスト
上記したように、Rの会は中心市街地の活性化をめざして活動しています。とくに実績もなく、ある意味で行き詰ってもいました。

そんなあるとき、たしか2020年3月か4月だったと記憶していますが、YouTubeでカンカンバルカン楽団というバンドの演奏を観ました。

個人的に好みの音楽だったので興味を持ちました。そして、演奏している場所が上野公園であり、その主催はヘブンアーティストだと知りました。

ヘブンアーティストとはなんだ、という興味から検索し、東京都が主催する文化事業であることが判りました。元都知事・石原慎太郎氏の肝いりで2002年から始まったそうです。けっこう長いことやってますが、当方は知りませんでした。

アメリカ・ニューヨーク市の地下鉄などで行われている、公共空間をアーティストに登録制で解放する、という事業を参考に企画されたといわれます。

具体的には、東京都が管理する施設の広場や通路、公園などの公共空間を登録したアーティストに使用を許可する、というものです。(72箇所ある)

ちなみに登録には年一回の審査会があり、合格する事が必要です。いまでは、この審査に合格するのは、とても難関だといわれています。

というわけで、ヘブンアーティストという事業に感銘し、これを地方で実現できれば、中心市街地の活性化につながるのではないか、と考えました。

企画素案をつくる
ヘブンアーティストをはじめ、いくつかの事例に関して資料を集めました。

そして、当該地域に関する立地調査をしました。どの場所に可能性があるかを検討し、いくつかを候補として選定しました。

それから、企画書素案の作成をはじめました。内容は、現状分析(背景)、テーマ、コンセプト、展開案、登録システム、写真、地図、などで構成しました。

木更津駅西口前には、9メートル幅の歩道が広がっています。この駅西口前をはじめに、中心市街地のメインストリートである富士見通りの歩道沿い、さらに港埠頭の歩道、そして公園という場所を選定しました。

補足情報
イベントなどで歩道上を使用する場合、3.6メートルの空きスペースが必要であり、かつ点字ブロックを跨いでの使用はできません。

当初の案では、駅西口から木更津港までの道を活かし、賑わいを創出するとしました。これは、国土交通省が提言する地域活性化のアイデアを参考にしました。

空洞化しシャッター街となり、人の姿も少なくなった中心街の風景を変えること、賑わいを創出する新しいコンテンツとして企画立案しました。

その後、企画素案を基に修正、追加など、3回ほど企画書を作り変えています。

企画をどこに提案するか

市(町)の協力が必要不可欠
企画案をどこに提案するか、当然ながら公共空間を管理するのは市(町)であり、その認可がなければ、路上(歩道)の場合は警察の許可も得られません。

市役所(以下、市に省略)に企画提案する場合、なんらかのルートがあればいいですが、直接コンタクトをとっても、提案する機会はないと思われます。

当会でも当初は直接コンタクトをとりましたが、はかばかしくなく、他の非営利団体、市民活動支援センターなどに企画案を説明し、改めて相談しました。

そして、支援センターが仲介する形で最初の提案する機会が得られました。そして企画提案をした結果、検討していただけることになりました。

その後、提案への回答がでるまでに、許可申請に関する情報収集を行いました。公共空間を管理する市の部署(提案した部署とは異なる)に具体的な許可申請の手続きなどを教えていただきました。おなじく警察署の道路交通課も訪ねました。

路上(歩道)=市の道路占有許可が必要
同上=警察の道路使用許可が必要
公園=市の使用許可が必要
港湾施設=県港湾事務所の使用許可が必要
※同意書=近隣施設の同意書が必要

上記した使用許可等を得るには、ある条件があることが判りました。それは、当会のような弱小の非営利団体(個人は言うに及ばず)では許可がおりず、より公共性のある組織、団体等の協力(後援など)が必要であることでした。

補足情報
イベントなどで道路使用許可を得るには、行政およびそれに準じる組織、団体などのように公共性や公益性がある必要があります。

市への最初の提案から約3週間ほどした頃、担当部署から回答がありました。それは、市としては後援等の支援はできないが、しかし、公共性ある団体の後援が得られるかもしれない、というものでした。

それが、「一般社団法人まちづくり木更津」という団体でした。これで方向性が決まり、近隣施設の同意書を得ることを条件に、後援を得ることができました。

このようにエンゼルアーティストは、一団体が単独で実現したものではなく、市およびその関係者、そして一般社団法人まちづくり木更津の関係者のみなさまの協力があって、はじめて実現いたしました。

冒頭の内容を繰り返しますが、許可を得ることは一定のルールを遵守することと同義であり、さらには、企画案の修正などが必要となる場合があります。

使用許可申請書の提出

使用許可を申請する
上記したように市の協力により、公共性ある団体の後援を獲得し、ようやく使用許可申請ができることになりました。

路上(歩道)の場合、市と警察の許可申請が必要となります。公園の場合は、管理する市へ許可申請を行います。申請書類は、正副の2部必要です。

市役所=道路占有許可申請の内容
・許可申請書(市ウェブサイトからダウンロード)
・後援団体の許可証(当該団体に発行依頼)
・実施計画書(企画概要、実施日時、場所、写真など)
・同意書(近隣施設などが同意した書面)

警察署=道路使用許可申請の内容
・許可申請書(警察ウェブサイトからダウンロード)
・道路占有許可証のコピー
・実施計画書(企画概要、実施日時、場所、写真など)
・同意書(近隣施設などが同意した書面)
・減免書類(市、または団体に発行依頼)

市への許可申請を先に行い、許可証が発行されてから、警察の許可申請を行います。なぜなら、警察への申請には市の許可証を添付する必要があるからです。

警察へ許可申請する場合、公共性あるイベント等では申請費用が免除されます。ただし、それを証明する書類が必要となります。(減免書類)

ちなみに、当会では立ち上げ時の2回分は自腹で支払いました。その後は減免書類を発行してもらって、申請費用は免除されています。

市役所への申請は一回で済みますが、警察への申請は一週間ごとに行います。(警察では、連続した7日間まで一度に申請できます)

エンゼルアーティストでは、週に1回の開催ごとに書類(2部)を用意し、1ヶ月分をまとめて申請しています。コピーする枚数が多いですが仕方がありません。

市の許可証、警察の許可証が揃って、ようやく路上(歩道)の使用が許可されました。これで、はれてエンゼルアーティストの開催ができることになります。

追記:
エンゼルアーティスト実現までのあらましを簡単にまとめてみました。省略した部分も多くあり、わかりにくい箇所もあるかもしれません。あしからず。

いま思えば、企画当初はあまり反応がよくありませんでした。なぜなら、中心街の活性化の定石では、いわゆる建物(ハード)を中心とした再開発だからです。

当会が提案したのは、新しいコンテンツ(ソフト)を街中に導入するものでした。前例がないのは言うまでもなく、その反応も想定内といえました。

しかし、ある意味では運がよかったと思っています。

市への提案のきっかけを作ってくれた市民活動支援センター、そして市の担当部署のみなさま、さらには後援を引き受けてくれた一般社団法人まちづくり木更津のみなさま、などとの出会いがあり、多大な協力をいただきました。

そして、エンゼルアーティストは誕生することができました。

エンゼルアーティストは、まだまだ生まれたばかりです。良いことも悪いことも今後起こるでしょう。しかし、長い目で見守っていただけると幸いです。

何卒、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

参考/エンゼルアーティスト実行委員会の業務概要
公共空間を使用できる許可を取得し、アーティストに無料で活用できるプラットフォーム(土台)として提供する、その仕組みを運営管理すること。

・各種許可申請手続き、および関連する対外接渉
・登録および予約の受付、返信などの対応
・ウェブサイト、SNS、YouTubeなどの情報発信
・告知、その他訴求ツール類の制作
・登録アーティストの管理リスト作成
・実施日の準備作業、現場管理、苦情対応
・収入および支出の管理、など

主催:エンゼルアーティスト実行委員会
後援:一般社団法人 まちづくり木更津

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