きさらづレトロ建築活性化委員会
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まちの再生、活性化はできるか否か

やるか、やらないかは、市民に懸かっている

80年代以降、日本では地方再生に向けて幾つもの施策が繰り返されてきました。しかしながら、それらに特別な効果はなく、地方都市の中心街はシャッター街となったまま、相変わらず空虚な雰囲気を漂わせて時代の流れに身を任せています。

地方では、まちおこしがブームとなっても、ゆるキャラや地方アイドルという画一化した手法が繰り返されるばかりです。たぶん、道の駅もおなじくである。

現在、地方再生やまちおこしの事業が、補助金ビジネス化しているそうである。例えば、ゆるキャラをつくりイベントをすれば、国から数千万円の補助金がでるそうだ。それが本当ならば、地方は自ら未来を閉ざしているに等しいといえる。

シャッター街となって廃れた中心街の再生、活性化ができれば、ノーベル賞ものだという有識者がいます。それぐらい、地方都市の中心街の再生は難しいものだという認識が、商業界、まちづくり関係者のあいだで浸透しているようです。

そこであえて、再生や活性化の道はないのかを探ってみました。実現性はさておき、どこかにヒントとなるアイデアのひとつやふたつはあるはずだ、そのように考えた次第です。その結果、以下のようなアイデアがありました。

キーワードは、「界隈」の復活です。ちなみに現在の地方都市では、界隈は消失し、その代替えをショッピングモールが担っています。

1)どうして、日本の地方都市が画一化していくのか

日本の地方都市の画一化が進んで、うるおいのない、おきまりの景観が各地に広がる傾向が顕著となっています。

その背景は、明治期以降にはじまった西洋志向の合理主義のたまものといえます。それは日本に経済成長をもたらしましたが、その反面で日本固有のアイデンティティーは失われていきました。

都市化と経済成長の影で情緒も想像力も失われて、その結果、人が中心ではなく、重工業に重点がおかれた合理主義的な街が形成されて、現在に至っています。

2)界隈とは

人が集い、にぎわいがある場所のこと。

たまる、たちどまる、見る、見られる、あつまる、であう、なじむ、歩く、たたずむ、話しかける、買う、売る、聞く、語る、ながめる、感じる、曲がる、ふれる、あそぶ、学ぶ、休む、飲む、食べる、ふれあう、ほほえむ……等々。

このような、人があつまり、ふれあう環境があるまちの一角(通り)を「界隈」という。けっして、たんなる通り過ぎるだけのまちの通りのことではない。

3)人は、人のいるところにあつまる

人は、まっすぐで広い道をけっして快適だと感じない。

広くてまっすぐな道は、ある意味では国家のシンボルとしての道であり、人が中心になっていない。別の意味でいえば、クルマのために必要な空間として計画されたものである。(全体主義の国家は概ねそうである)

効率性と合理性、管理のしやすさを重点とすると、平面的なまちなみとなり、人はそこを通行してゆくだけとなる。したがって、界隈とはならない。

人があつまる=界隈をつくる、それには「たまり」が必要であり、そこに人が集うことで界隈が生まれてくる。

人は、人があつまるから「あつまる」という習性を有している。

人が集う場をつくる→そこからはじめる→界隈に発展させてゆく

<核となる場づくりとたまり>
・待ち合わせ空間
・界隈へ誘う行動がある
・主役は人間

4)界隈と川

パリと京都/川のあるまち(セーヌ川と鴨川)

パリ……パリでは、セーヌ川を生活の拠り所として、そこを眺め、そこに憩う。川沿いのプロムナード、ムードのある景観、さまざまな橋がある。人々は、そこに集い、くつろぎ、そして界隈は広がってゆく。

京都……鴨川沿いの料理屋は川に向かって「縁」を持っている、夏になるとその「縁」で夕涼みしながら飲み、食べるを楽しむことができる。京都では、川に背を向けるのではなく、それを取り込み、界隈性をおびている。

(小さな川は、区切りではなく界隈に取り込まれて生かされる)

ヒント:川沿いの商業施設、リバーサイドカフェ等
ポイント:オープンである、川に向かって開かれていること。

5)界隈とこころのシンボル

界隈の核となるシンボルとは
界隈には、なにか象徴となるものがあると理解されやすい、それが地域の歴史を継承するものであれば、地域のこころのシンボルともなる。

例/古い歴史性ある建物群

古い歴史性がある建物と現代の生活とが、うまくかみ合わなくとも、古いもの、新しいもの、将来的なもの、とが混在して新しい界隈性が生まれる可能性がある。

歴史の名残りである界隈性があり、無意識にそれを感じることができ、現代の感覚でそれを楽しむことができれば、一層いいはずである。

<ヒストリータウン構想>
古い建物→保存ではなく、生きたまま再生する。
現代生活が変化するなかで、どこかで接点を持たせつつ、伝統、歴史性を継承してゆくことが、地域固有の界隈に活気をもたらす。

古い建物群は、今日もどこかで歴史の名残りが消されています。

<歴史を継承する>
視点を変える…古い建物群を残すことで地域の価値を高めてゆく。
再生する…もう一度、生命を吹き込んでみる。

また、建物だけでなく、居心地のよい道、情緒を残す界隈など視点を変えれば、現代にも通じる再生ができるはずである。

6)港町界隈

港町は、海で仕事をする人たち、海を旅してきた人たちがたどり着く場所(帰港、目的地)である。海は、危険と隣り合わせのところであり、それを乗り越えてきた人たちは、疲れた体を癒すくつろぎの場を求める。

港町は、そんな人たちを温かくもてなす場として、界隈が形成された。飲食店が多いのは、ある意味では必然であった。

そんな港町は、いずれもある種独特のムードを醸し出している。海に関係する人たちだけでなく、多くの一般人もそこに惹かれて訪れる場所となっている。

参考:横浜、神戸など

ヒント:「イン・ザ・ムード」…雰囲気、趣がある、情緒、風流、港町文化等々

ムードは、曖昧な意味合いであるが、そこはかとなく漂う雰囲気が共通していることが重要な要素となる。異質なものが混じるとたちまち陳腐化してしまう。

参考文献:「人があつまる」浜野安宏(浜野商品研究所)、ほか
「人があつまる」以外の文献タイトルを忘れてしまいました。ずいぶん前に資料としてコピーしただけで、書籍がないからです。あしからず。

追記:
Rの会でやろうとしていること、それはまさに「界隈の復活」であるといえます。レトロ建築の再生、活用、保存という活動は、そのひとつの柱であり、人があつまる機会を創出するものです。

そして、中心街ににぎわいを取り戻し、それを維持、発展させることが目標となります。したがって、大変な事ですが終着点がないと同義となります。

それができるかどうかは、現時点ではなんともいえません。

写真:村田賢比古

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