非営利任意団体/Rの会 2018年6月設立

地域活性化事例|まちづくりは、一朝一夕には成らずなり

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「まちづくりシンポジウム/川越蔵の会」の開催を終えて

歴史を生かしたまちづくり

12月9日、Rの会主催「まちづくりシンポジウム/川越蔵の会」を開催いたしました。残念ながら参加者はわずかでしたが、「川越蔵の会」(荒牧澄多氏)による基調講演の内容はとても濃くて、感慨深いものがありました。改めて川越のまちづくりのすごさを感じることができました。

約2時間近い講演でしたが、それでも30年以上(蔵の会発足1983年〜)にわたる川越蔵の会、および川越のまちづくり活動の全貌を知るには不十分だったかもしれません。なにしろ、まちづくりの活動が多岐にわたるため、一回見たり、聴いただけでは理解が及ばない部分も多々あったと感じています。

なお、ビデオ撮影はしておらず、参加できなかったみなさまに詳細な内容をお伝えすることができません。その代わりに、要点を整理して以下にご紹介いたします。ただし、あくまで要約した内容であることをご了承ください。

<川越の歴史ある町並みと商店街>
一番街商店街…全国的に有名な蔵の町並みで小江戸といわれる
大正浪漫夢通り…看板建築、昭和のモダン建築などの町並み
昭和の街…ノスタルジーある昭和の町並み
お菓子横丁…駄菓子屋さんなどが集まる町並み

川越まちづくりの歴史

まちの再興に向けて

現在の川越では、人が多く集まりすぎて、よくある地方都市(シャッター街、中心街の空洞化)の現状とは真逆の問題が発生しているようです。

疲弊する地方都市には、うらやましい限りですが、そんな川越も1960年〜70年代には、すっかり寂れて元気のない街並みだったそうです。住民の多くも歴史ある建物(蔵造り、他)で人が集まるとは、考えもしていなかったとか。

初期活動から単体保存へ

1970年代初頭から、一部の学者や専門家が、その歴史的価値に注目して町並み保存に向けて動き出しました。ちなみに70年代は、国鉄の「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンが始まって、日本固有の歴史性が注目されていました。

一部の市民もその動きに加わり、青年会議所では市に対し、歴史的町並みの景観保存という提案をし、その後「伝統的建造物群保存対策調査」につながっていきます。

川越蔵の会/荒牧氏から以下の指摘がありました。
「正確には、青年会議所の運動が直に繋がっているのではありませんが、間接的な繋がりでしょう。時代の流れです。伝建調査は、研究者等に川越の町並みが周知されていたからでしょう」

しかしながら、こうした外部からの動きはまちに根付かず、逆に商店街からは、伝統的建造物群保存地区の指定にも難色を示したそうです。店主側には商売に差し障りがあるのでは、という懸念があったようです。

そして、70年代初頭から動き出した「歴史あるまちづくり」の活動は、一旦は頓挫いたします。

70年代後半には、蔵の町並みの周辺に高層マンションが建つ様になり、また、一番街商店街(蔵の町並み)には、蔵を壊して道路を拡幅する都市計画が決定されていた。まさに、歴史ある建物と町並みの危機が、すぐそこに迫っていました。

<70年代の動き>
(1950年:文化財保護法制定)
1970年:大沢家住宅重要文化財指定
:学者、専門家による啓蒙活動
1973年:青年会議所の活躍
1974年:「歴史的保存計画」日本建築学会関東支部
1975年:文化財保護法改正される
:伝統的建造物群保存対策調査
⬇︎
・住民の賛同を得られずに伝建地区登録は見送りに、活動も一旦頓挫する。
・一番街商店街の周辺にマンション建設、道路拡張計画が迫る。

まちづくり活動の転換期、保存から活用へ

歴史を生かしたまちづくりがはじまる

70年代の約10年にわたる町並み再興の活動は一旦は頓挫したが、80年代になるとその活動が進化していきます。諦めないところが、すごいと思います。

1983年、市民団体「川越蔵の会」が発足されました。この蔵の会には、一番街の商店経営者や市民、市役所の職員、建築家やまちづくりの専門家、学者などが参加いたしました。

そして、いよいよ歴史を生かしたまちづくり活動が活発化していきます。

具体的には、「保存から活用へ」という趣旨に基づき、「商店街を活性化し、そして蔵の保存がある」という流れが出来上がりました。蔵を残すには、どうすればいいか、ということが考え抜かれた結果だそうです。

「蔵造りの建造物というのは、保存や修復に数百万から数千万の費用がかかることも少なくありません。これを個人で維持していくのは大変なこと」という、大前提を考慮し、商店街を活性化させることが、歴史ある建物や町並み保存につながるということになります。

1987年、「一番街商店街町並み委員会」が、商店街の下部組織として結成されました。ここには、蔵の会のメンバーも参加しているそうです。

そして、現在の川越につながる「歴史ある建物と町並み」の基盤整備がはじまっていきます。

歴史的街並みに沿わない異質で無機質な看板や自動販売機、室外機などを撤去、またはデザインを変更するなどして、歴史ある町並みの景観を統一する手立てが行われました。

さらに、蔵造りの建物群のファサードも高さや色合いなどを統一し、歴史ある町並みの風情を取り戻すということも行われています。

そして、電線の地中化(92年完成)という難事業にも果敢に挑んでいきます。

とにかく、「川越蔵の会」、「町並み委員会」が発足された以降の活動は、中途半端な妥協はしない、ということにつきるようです。

無機質な看板ひとつ外すだけでも、けっこう大変なことです。それを数多くの建物から取り除くということを実施しただけでも十分関心してやみません。

言うは易し、言葉では簡単ですが、実行するには並々ならぬ努力と行動力があってこそと思われます。また、川越のまちづくりの成功(人があつまる)の要因は、やはり市民、団体、行政が一体化できたことにあるのではないでしょうか。

繰り返しますが、「言うは易しであり、行うは難し」であります。きさらづの現状を省みると愕然とするばかりなのは言うまでもありません。

<80年代の動き>
1983年:川越蔵の会発足
・住民が主体となったまちづくり
・北部商店街活性化による景観保存
・街並み保存のための財団形成
1986年:川越一番街活性化モデル事業調査報告書
1987年:一番街商店街町並み委員会発足
1988年:一番街まちづくり規制制定
⬇︎
周辺商店街に波及してゆく
1994年:大正浪漫委員会発足(大正浪漫夢通り)

昭和50年頃の町並み

看板の撤去、電線の地中化などにより、このような風情ある町並みとなりました

昭和50年(1975年)頃の街並みは、看板だらけでなんだか現在の地方都市における郊外(街道沿い)の様相に似ています。歴史ある建物から異質なものを排除し、本来の姿かたちを取り戻すのは、そう簡単ではないことが想像できます。

本来の姿かたちは、やはり美しいですよね。住民のみなさまもこれを忘れていたのは、なぜだろうと思ったのではないでしょうか。戦後の地方都市は、経済合理性と引き換えに美意識を失っていたと思わざるを得ません。

それはさておき、電柱の地中化は大変な事業だったと思いますが、ずいぶんと早い決断をしたものです。ディズニーのようなテーマパークならいざ知らず、なんせ普通の町ですから、なおのこと難事業だったと思います。

とにかく、とことん徹底してやるぞ、という意気込みが感じられてきます。

まちづくりの展開期 商店街活動から住民活動へ

90年代になると、一番街商店街(蔵の町並み)から周辺地区へと歴史あるまちづくり活動が波及していきます。大正浪漫夢通り、昭和の街、菓子屋横丁など。

1993年、行政による都市計画変更案に対し、自治会が総反発し自治会による勉強会の場として、「十力町会」が発足されます。(伝建地区含む12自治体)

そして、その後住民自身によるまちづくり合意形成が図られていきます。

93年〜97年、十力町会による「伝建地区指定」へ向けて合意形成、おなじく02年〜04年にかけて「景観形成地域指定」へ向けた合意形成がされていきました。

2000年代以降になると、川越のまちづくり活動は深化し、熟成していきます。

しかし、まちづくりに終わりはなく、継続していくことが宿命となっています。今後、川越のまちづくりが、どのように深化していくのか注目されます。

<90年代〜現在の動き>
1997年 十力町会 伝建地区要望書を市に提出
1998年 川越市伝統的建造物群保存地区保存条例施行
1999年 都市計画道路の変更と伝統的建造物群保存地区の都市計画決定
2000年 パークアンドライドおよびサイクル社会実験
2004年 十力町地区都市景観形成地域指定
2006年 クレアモール・八幡通り周辺地区都市景観形成地区
2009年 一方通行社会実験
2011年 川越市歴史的風致維持向上計画策定
2014年 川越市景観計画施行
2016年 川越市歴史的建築物の保存および活用に関する条例

パークアンドライドとは
自宅から自家用車で最寄りの駅またはバス停まで行き、自動車を駐車させた後、バスや鉄道などの公共交通機関を利用して、都心部の目的地に向かうシステムである。

菓子屋横丁

川越の建造物保存施策 2018年1月現在

1)重要文化財=4件/14棟
2)重要伝統的建造物群保存地区=1地区/伝統的建物133棟
3)登録有形文化財=12件/12棟
4)埼玉県指定文化財=9件/12棟
5)川越市指定文化財=52件/71棟
6)景観重要建造物・都市景観重要建築物等=84件/104棟
7)歴史的風致形成建築物=8件/11棟

※3、5、7に関して、重複を含んでいます。

以上、「まちづくりシンポジウム/川越蔵の会」における基調講演から要点をまとめてみました。いかんせん、内容が盛りだくさんであり、当方もうろ覚えの部分もあります。完全なものとは言えませんが、参考になれば幸いです。

Rの会では、「まちづくりシンポジウム、または講演」を今後も続けていきたいと考えています。次の機会には、ぜひご参加ください。どうぞよろしくお願いいたします。

川越散策マップを以下の店舗で配布しています。
「カフェマコーラ」と「1982」、ともに駅東口にある飲食店さんです。なお、数には限りがあります!

写真引用:https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00416/

川越では、スターバックスも純和風に


スターバックスもやるもんですね。郷に入っては郷に従えを理解した、なかなか雰囲気のいいお店のようです。きさらづにもぜひ欲しいがいかに。

おまけ/こんな看板建築がありました


鉄道模型屋さんが作った看板建築です。
http://www.katomodels.com/product/nmi/kanban_bldg.shtml

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